太陽光発電投資の基礎知識 農地転用で太陽光発電投資をはじめる方法

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太陽光発電には土地が必要農地転用で土地を活用する為には

太陽光発電投資を始めるに当たり、太陽光パネルなどを設置して発電所として機能させる為の、“十分な面積を持った土地”は不可欠です。そこで今回は、土地の確保に役立ってくれる農地転用について考えてみましょう。

休耕地、遊休地を活用しましょう

太陽光発電投資において、その発電量をどれくらいにするかは、投資額と合わせて最初に考えなければならないポイントです。当然ながら、発電量が多ければ多いほど、その実質利回りも高くなることが期待されます。しかし、発電規模を大きくする為には、それに見合った面積の土地を用意しなければなりません。

太陽光発電に適した土地は、必要な広さがあり、日射量にも恵まれた場所が理想です。また、建造物などを解体処理する必要のない、空き地や更地であれば尚更でしょう。

そこで、例えば農作物の栽培がストップしている農地(休耕地)や、まだ何にも利用されていない遊休地などは、太陽光発電所の設置場所として有用です。

ただし土地には、法的に「土地の使用目的(地目)」が定められており、通常は農業用地に産業用の太陽光発電所を設置することも許可されていません。そこで太陽光発電事業に休耕地などを使う為には、その地目を変更する「農地転用」の手続きが必要になります。

農地転用には管轄省庁の許可が必要

太陽光発電事業は、経済産業省の外局である資源エネルギー庁の管轄であり、農地は広義には農林水産省の管轄になります。

そして、経済産業省が再生可能エネルギーの普及を目指そうと考えているように、農林水産省は食糧自給率の向上を目指しています。その為、単に「太陽光発電事業に広い土地が必要です」と言ったとしても、農林水産省がそう簡単に農地転用を認めてくれるとは限りません。

ましてや、実際に土地の記録などを監督しているのは市町村であり、地方行政や市町村の考え方として、農地転用について慎重な場合もあるでしょう。しかも、産業用に農地を開発してしまった後は、再びそれを農地として戻すことが困難な場合も多く、そのような点からも農地転用が認められにくい理由がうかがえます。

なお、農地転用の申請においては、その土地を管轄する行政主体の「農業委員会」に所定の書類を提出し、そこで農地転用後の目的などと合わせて審査が行われます。

土地の性質を考えましょう

一口に「農地」といっても、全ての休耕地などが太陽光発電事業の為の土地として地目変更可能なわけではありません。まず、農地には幾つかの種類があります。

  • 農用地区域内農地:市町村の農業振興地域整備計画により、「農用地区域」として指定されている区域内にある農地。
  • 甲種農地:第1種農地の条件を満たし、かつ市街化調整区域内の土地改良事業等の対象となった農地(8年以内)など。
  • 第1種農地:10ha以上の規模の一団農地や、土地改良事業等の対象となった農地など、営農地として良好な条件を備えている農地。
  • 第2種農地:鉄道の駅が周辺500m以内にあるなど、市街地化が見込まれる農地や、生産性の低い小集団農地。
  • 第3種農地:鉄道の駅が周囲300m以内にあるなど、市街地の区域または市街地化の傾向が著しいと認められる区域内の農地。

これらの内、基本的に太陽光発電事業の為に農地転用が認められるのは、原則として「第2種農地」と「第3種農地」に限定されます。つまり、農地としての価値が高いと認められる土地に関しては、農地転用は難しいと言わざるを得ません。

また、その他の土地に関しても、例外的に「特例制度」などが適用される場合もありますが、それには都道府県知事や、また4ha以上の農地に関しては農林水産大臣の許可が必要となるなど、ハードルは決して低くないのが実状です。

太陽光発電事業にとって重要なポイントである売電価格は年々減少傾向にあります。幾ら広い土地を手に入れられる可能性があるとしても、その手続きの終了までに時間がかかりすぎる場合などは、総合的に見てあまり有効な土地活用とは言えないでしょう。

農地転用のメリット

現実的には日本国内の農業人口は年々減少傾向にあります。そして、それに伴い、耕作放棄されてしまっている農地も増え、日本全国の休耕地などを合わせると「40万ha以上」にもなると言われています。

このような現状から、過疎化が進み、農業従事者の増加が難しいと思われる一部の市町村などでは、事業者に対して農地転用を認め、新しいエネルギーと、その投資事業に比例する税収を確保しようと動いている例も増えているようです。

実際、太陽光発電事業者にとっても、土地所有者にとっても、市町村行政にとっても、農地転用によるメリットは多岐にわたります。

耕作放棄地の解消

放置されているだけの土地は、何の収益も生みませんし、また時には雑草や雑木が茂り周辺環境に悪影響を及ぼす可能性も懸念されます。太陽光発電の安定には定期的なメンテナンスが欠かせず、その中には雑草やゴミなどの除去も含まれる為、地域の景観や安全の維持に役立つ可能性は十分にあるでしょう。

電気エネルギーの安定供給

農地はそもそも日当たりの良い場所に設けられていることが多く、それはそのまま太陽光発電にとっても魅力的な条件になります。

ソーラーシェアリング

太陽光発電所を農地に設置すると、一般的には太陽光パネルなどによって農地の日当たりが阻害され、農作物に悪い影響をもたらすと考えられてきました。

しかし技術開発が進んで様々なシステムが生まれたことにより、作物の栽培とエネルギーの生産を両立させる「ソーラーシェアリング」という仕組みも誕生しています。

農地転用の軽減措置

一部の市町村などにおいては、太陽光発電事業など再生可能エネルギーに関する取り組みに対して、工場建設や宅地建設の為の農地転用よりも、その申請基準を緩和しているところもあります。

農地転用のデメリット

太陽光発電事業に関わる農地転用にはメリットがある一方、やはりデメリットも少なからず存在します。 農地転用を目指す際には、メリットだけでなくデメリットも考慮した上で、誰もが納得のいく事業計画などを考えることが肝要です。

設置費用

農地に太陽光発電所を設置する場合、地表から一定の高さに太陽光パネルなどを設置しなければならない為、通常よりも強固な架台や重量計算などが必要になり、設置費用も高くなりがちです。

農地の減少

言うまでもなく、農地転用をした後は、以前のようにその土地で作物を収穫することは難しくなる場合が大半です。ソーラーシェアリングを利用するにしても、エネルギー生産と農作物の収穫のバランスについて事前に考えておくことは大切です。

定期的な調査と審査

農地転用後に、その太陽光発電所などが周囲の農地へ悪影響を及ぼしていないかどうか、定期的に調査をして、またそれによって審査を受ける必要が生じます。

まとめ

農地転用による休耕地などの活用は、太陽光発電事業において魅力的な制度ですが、決して誰もが気軽に行えるものでもありません。それにかかる手間や費用、農地転用の必要性などについて、冷静な計画が求められます。