太陽光発電投資の基礎知識 ソーラーシェアリングで太陽光発電事業と農業を両立

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太陽光発電事業と農業の共存を目指すソーラーシェアリング

太陽光発電投資を考える人にとって、農地の活用(農地転用)は魅力的な制度ですが、一方で農業面から考えると難しい場合もあります。そこで役立つのが、太陽光発電事業と農業を両立させるソーラーシェアリングです。

ソーラーシェアリングとは

ソーラーシェアリングとは、「営農型太陽光発電」とも呼ばれ、簡単に言えば、「太陽光発電所の設置の仕方を工夫して、農作物の栽培を妨げずに発電を行う方法」です。

一般的に、農地は日当たりが良く、太陽光パネルなどを設置する為に適した広さも備えており、太陽光発電事業にとって便利な環境と言えます。しかし反面、そこに太陽光パネルなどを設置してしまうと、太陽光が作物でなくパネルに吸収され、農作物の生長が阻害されてしまいます。そこで生み出されたのがソーラーシェアリングという考え方であり、技術です。

例えば、太陽光パネルを特別な支柱や架台などによって支え、通常よりも高い位置に設けることにより、パネルの足下で栽培される農作物にも陽の光を当てたり、また大雨や大雪による農作物への被害を防いだりすることも可能になります。

理想のソーラーシェアリングは、単に太陽光発電と農作物の栽培を同時に行うだけでなく、互いに補って、より良い結果を得ることと言えるでしょう。

ソーラーシェアリングの設置費用

ソーラーシェアリングの利回り

ソーラーシェアリングも他の太陽光発電投資と同様に、改正FIT法によって固定価格が設定されており、収益の安定性はあると言えます。しかし、初期費用が高額になる分、利回り自体は産業用太陽光発電投資や一般の戸建用太陽光発電投資と比べると、低下してしまうことを避けられません。

初期費用

仮に、太陽光発電設備の初期導入費用を「1kW当たり20万円」として、3,000㎡の農地に100kWのソーラーシェアリングを設置するとします。すると、初期費用は「100kW×20万円/kW=2,000万円」となります。

売電収益と設備利用率

設備利用率とは、太陽光発電設備が実際に発電する電力量が、その太陽光発電設備が100%稼働し続けた場合の発電量の何%にあたるかという割合です。 平成28年11月に公開された経済産業省・資源エネルギー庁の調査資料によると、その設備利用率は平均およそ13~15%程度とされています。 そこで、ここでは中間値として設備利用率14%、また売電価格18円/kWhで試算してみましょう。 24時間365日、太陽光発電設備が稼働したとして、年間の売電量と売電収益は以下の計算式で算出できます。

24h/日×365日×100kW×0.14=122,640kWh
122,640kWh×18円/kWh=2,207,520円≒220万円
これにより、年間の売電収益は約220万円(毎月184,000円)となります。

利回り

売電収益と初期費用が分かれば、利回りを試算することが可能です。

年間売電収益220万円÷初期費用2,000万円×100(%)≒11%
ここで算出された利回り11%は、メンテナンス費や万一のトラブルに備えた保険料などの経費が引かれていない「表面利回り」であり、実際の状況に則した「実質利回り」はもう少し下がって10%程度と考えておく方が無難かも知れません。

ソーラーシェアリングでも農地転用は必要

農地転用について

土地には、住宅を建てる為の土地、工場を建てる為の土地など、それぞれ目的が定められています。そして、例えば田畑として農作物を栽培する目的を与えられている「農地」には、そのままでは太陽光発電所を設置することが認められていません。これは、ソーラーシェアリングによって農業を一部継続する場合でも同じです。

その為、ソーラーシェアリングを含めた、農地の太陽光発電利用には、土地の目的を変更する「農地転用」の手続きが必須になります。

ただし、ソーラーシェアリングに伴う農地転用については、永久的な転用が認められておらず、一定期間ごとに審査や再申請が求められます。

地方によっては、ソーラーシェアリングの場合は、通常の産業利用よりも比較的簡単に農地転用を認めているところもあります。しかし、だからと言って農業をおろそかにしてしまうと、転用許可が取り消されてしまう場合もある為、注意が必要です。

農地の一時転用が認められる条件

ソーラーシェアリングにおける農地の一時転用には、まとめると以下のような条件が挙げられます。

  • ・転用期間が3年以内(更新可能)。
  • ・太陽光パネルの支柱や発電設備が、安全基準などを適切に満たし、かつ必要最小限な範囲で設置されている。
  • ・農地での適切な営農が確実に行われ、また周辺の農地の営農にも影響を与えないこと。さらに、農地部分の生産状況や太陽光発電設備による影響などについて、毎年報告すること。
  • ・太陽光発電設備の改善・改築や稼働停止をする際は、直ちにそれを報告すること。
  • ・事業廃止に伴って太陽光発電設備の撤去が必要になった場合、速やかにそれを行えること。

また、一時転用を認められていたとしても、次のような場合には更新が認められません。

  • ・農業(営農)が行われていない。
  • ・農地だけによる収益が、同年・同地域の平均収益と比べて約2割以上減少している。
  • ・生産された農作物に、明らかな劣化や異常が生じている。
  • ・適切な営農を行うことが困難になっている。

ソーラーシェアリングの申請に必要な物事

申請手続きに必要なもの

ソーラーシェアリングは農地を利用しますが、農地を農業以外の目的で使用するには農地転用の許可申請が必要です。ソーラーシェアリングを行う前に必要となるのは、農地の一時転用許可申請です。そして一時転用許可の申請は、ソーラーシェアリング事業を行う予定の市町村にある農業委員会へ行います。具体的には、通常の農地転用許可申請に必要な書類等だけでなく、ソーラーシェアリングに関する資料や書類を添付した上での手続きが必要です。ソーラーシェアリングに関する書類としては以下のようなものがあります。

  • ・ソーラーシェアリング設備設計図
  • ・発電設備下の農地における営農計画書
  • ・発電設備の設置による農地への影響や、その根拠となるデータなどの資料。または必要な地券を有する者の意見書など
  • ・ソーラーシェアリング事業者と、設備下の農地で営農する人間が異なる場合、支柱(架台)を含む発電設備の撤去費用などについての合意書
  • ・金融機関の残高証明書や融資内定証明書など事業資金を証明するもの

毎年の手続き

ソーラーシェアリング設置後も、その年の農作物収穫量や栽培状況について、翌年2月までに都道府県知事などの「許可権者」へ報告をしなければなりません。これは一般的に「営農報告」と呼ばれており、特に一時転用許可の取得から3年目の報告は、改めて一時転用の許可申請を行う上で重要な判断材料として使われるので、注意が必要です。

ソーラーシェアリングの注意点

個人が新規にソーラーシェアリングを行う場合、一般的に金融機関からの融資難易度が上がるとされています。なぜなら、ソーラーシェアリングに必要な一時転用許可には手続きが必要なだけでなく、そもそも許可には有効期限(3年)が設定されているからです。

太陽光発電投資では、再生エネルギー固定価格買取制度(FIT)による長期的かつ安定した収益が最大のメリットである為、万が一、途中で一時転用許可の申請が下りなくなってしまうリスクは、金融機関にとって無視できない要素として考慮されます。