厚生年金は、法人か、5人以上の従業員がいる個人事業所に勤めている70歳未満の従業員が加入する公的年金です。ここでは、厚生年金の計算方法や受給できる大まかな金額など、基本的な知識を解説しています。
厚生年金の計算方法は、平成15年の4月に変更されています。そのため、変更前と後、両方にわたってお給料をもらっている人は、それぞれの基準に基づいて受給額を計算し、足し合わせる必要があります。まず、平成15年3月分までの計算方法ですが、この時点までの計算方法はシンプルです。単に、給与の平均を出せばいいからです。
一方で、平成15年4月以降の計算方法は少しややこしくなっています。というのも、ボーナスを含めて計算することになったためです。
一見すると、ボーナスの金額が足された分、変更後の支給額の方が多くもらえるように思えるかもしれません。しかし、計算式の項に含まれる一定乗率を見ると、変更前と変更後で数値が「0.0075」から「0.005769」に変わっています。これは、計算式を変えたせいで受給額に大きな差がでないようにするための帳尻合わせ。ボーナスの金額にもよりますが、計算式の変更前と後とで、受給額に大きな差はないはずです。
ちなみにこの数式はあくまでも大まかな計算式です。じっさいは、単純に給与の平均を根拠にするのではなく、当時の価値を現在の価値に置き換える計算も必要となります。
もし正確な金額が知りたい方は、年金事務所に問い合わせてみることをお勧めします。
X | 賞与を含まない、月給の平均 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
10万円 | 20万円 | 30万円 | 40万円 | 50万円 | ||
加入期間 | 1年 | 9 | 18 | 27 | 36 | 45 |
5年 | 45 | 90 | 135 | 180 | 225 | |
10年 | 90 | 180 | 270 | 360 | 450 | |
15年 | 135 | 270 | 406 | 540 | 675 | |
20年 | 180 | 360 | 540 | 720 | 900 | |
25年 | 225 | 450 | 675 | 900 | 1125 | |
30年 | 270 | 540 | 810 | 1080 | 1350 | |
35年 | 315 | 630 | 945 | 1260 | 1575 | |
40年 | 360 | 720 | 1080 | 1440 | 1800 |
(※上記は平成15年3月までの早見表、千円単位)
X | 賞与を含まない、月給の平均 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
10万円 | 20万円 | 30万円 | 40万円 | 50万円 | ||
加入期間 | 1年 | 7 | 14 | 21 | 28 | 35 |
5年 | 35 | 70 | 105 | 140 | 190 | |
10年 | 70 | 140 | 210 | 280 | 350 | |
15年 | 135 | 270 | 406 | 540 | 675 | |
20年 | 138 | 276 | 414 | 552 | 690 | |
25年 | 173 | 346 | 519 | 692 | 865 | |
30年 | 208 | 416 | 624 | 832 | 1040 | |
35年 | 242 | 484 | 726 | 968 | 1210 | |
40年 | 277 | 554 | 831 | 1108 | 1385 |
(※上記は平成15年4月以降の早見表、千円単位)
これは、受給額の簡単な早見表です。もし転職経験がある場合は、それぞれのお給料・勤続年数で計算したものを合算することになります。
また、厚生年金に入っている人は、国民年金も併せてもらうことができます。
厚生年金はよく年金の2階部分と例えられますが、これは日本に住んでいる20~59歳までの人は国民年金に加入する義務があるため。全員が入っている国民年金が1階部分、法人等に勤める従業員が国民年金とは別に加入している厚生年金が2階部分、という例えをするわけです。
自営業など、国民年金だけにしか加入していない人より、厚生年金に加入している人の方が受け取れる年金受給額は多くなります。
厚生年金の受給額の計算は込み入っています。例え数式がわかっても、今までの勤続年数や給与総額がわからなければ、概算も難しいでしょう。ここでは参考までに、単身者と夫婦、それぞれの場合別に、大まかなモデルケースを紹介したいと思います。
まず、単身者の場合についてですが、月々のお給料が約40万円で、賞与(1.5ヶ月分)が年に2回あった場合を想定してみます。
平成15年3月まで適用されていた数式「給与平均×一定乗率(0.0075)×勤続月数」に当てはめると「400,000×0.0075×480(=40年×12カ月)」で年におよそ144万円(月々12万円)。
一方、平成15年4月以降から適用されている数式「ボーナス込みの給与平均×一定乗率(0.005769)×加入月数」に当てはめると「500,000×0.005769×480(=40年×12カ月)」で138万4,560円(月々11万5,380円)となります。
上記はあくまで概算ですし、平成15年3月より前と後の給付額をそれぞれ算出して合算する必要があります。あくまで目安として参考にしていただければ幸いです。
次は夫婦の場合について見ていきましょう。夫婦の場合でも、基本的には単身の場合と同じ計算となります。
ただ、配偶者がいて、厚生年金の加入期間が20年以上の時は、加給年金というボーナスのようなものが付き、単身者の時よりももらえる年金の額が増えます。
加給年金をいくらもらえるか、というのは生年月日によって違ってきますが、概ね40万円前後は見込むことができます。
また、配偶者が例え働いていなくても、国民年金はもらうことができますので、夫婦でもらえる年金は厚生年金・加給年金・国民年金2人分、ということになります。
贅沢ができる金額、というわけではありませんが、単身者よりも夫婦の方が、もらえる年金の額が高いのは間違いありません。
自分で対策をしない限り、基本的には厚生年金と国民年金で老後の生活を賄っていくことになります。
そのため、いくらもらえるのか、ということを早めに把握して、将来に備えておくことが大切。ここで採り上げたのは厚生年金ですが、このサイトでは国民年金についてもまとめています。
興味がある人は、ぜひそちらにも目を通されてみてください。