太陽光発電業者にまつわるトラブル集 太陽光発電で注意したい日照権の問題

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太陽光発電で注意したい日照権の基本とトラブルのリスク

太陽光発電では、日照権が大きな問題となることがあります。快適な日常生活を送るうえでも、日当たりに恵まれた環境であることは大切な要素ですが、太陽光発電を行っている場合、問題はそれだけではありません。日の当たらない状態では、発電量が十分でなくなり、売電収入などに直接影響を与えるためです。日照権のトラブルは、設置後に周囲の環境が変わったことで起こるケースが多くあります。

日照権とは

日照権は、居住場所において日当たりが侵害されないための権利です。法律や条文には明記されていないものの、しばしば判例で認められています。日照権侵害の判断基準は非常に複雑です。しかし、一般的に許容できない範囲の侵害を受けた場合には、損害賠償が発生することもあります。太陽光発電を導入している家庭の場合、一般の住宅以上に大切な権利と言えるでしょう。

太陽光発電と日照権のトラブルによる失敗談

40代のSさんは、ローンの返済にあてられる収入を少しでも確保しておこうという思いから、マイホームを建てる際に太陽光発電の導入を決めました。太陽光発電は初めてでしたが、環境に恵まれたためか、最初の1年の売電収入は良好。この状態が続けば、発電システムの寿命まで安定した家計が維持できそうでした。

ところが、太陽光発電システムの導入からわずか1年後、思いもよらないことが起こりました。それは、隣の土地でのマンション建設。これまで空き地だった隣地に、地上10階建ての高層マンションが建つことになったのです。これまで何も遮るもののなかった場所に10階建ての建物。これは文字通り、Sさんの太陽光発電の運用にも影を落とすことになってしまいました。

日当たりが確保しにくくなったため発電量も激減し、最初の1年間で得られたような売電収入も見込めません。また、収入が減っても維持コストは変わらずかかるため、困惑することになりました。

太陽光発電導入後の街並みの変化を予測

太陽光発電では、太陽の光が当たらないと発電ができません。太陽光発電を導入する際は、その後の街並みの変化を予測して、発電量を維持できるかを考える必要があります。一般的に、太陽光発電システムの導入資金回収にかかる期間は10年ほど。リスク管理の見地からすれば、それ以上の長期予測は必要ありません。とりあえず設置から10年間を目安に日照権の確保を考えましょう。

ただ、周辺の土地のオーナーが空き地に建物を建てたり、または建て替えにより高い建物ができたりすることを正確に予測することは困難です。また、日照権は誰のためにもある権利ですが、隣地のオーナーにも自分の土地を自由に使う権利はあります。

リスクを回避するためには、日当たりが悪化した場合、発電量にどの程度の影響が出るのかを導入前にシミュレーションしておくことが大切です。また、周囲が高層ビルを建てられる土地なのか、用途地域や建ぺい率・容積率などについても確認しておきましょう。

すでに太陽光発電を設置済みの場合

太陽光発電システムをすでに設置した後で、日照権の問題に直面するケースも考えられます。設置前であれば導入を検討すれば良いだけですが、設置が済んでいる場合には、経済的損失を法に基づいて考えていくしかありません。個人が解決するのは難しいため、弁護士などの専門家に相談しましょう。

太陽光発電システムでの日照権のトラブルは、経済的損失につながる問題です。しかし、日当たりを阻害している建物のオーナー側にも土地を自由に使う権利があるため、簡単には解決しません。個々のケースによっても対応の仕方が異なるため、弁護士とともにより良い対策を考えていくことが必要となります。

日照権を確保する3つの対応策

損害賠償を求める裁判

日照権の問題解決方法のひとつに、損害賠償を求める裁判があります。日照権の回復のため、裁判を起こす例はこれまでにもありました。太陽光発電は日照権の侵害が経済的利益の問題となるため、経済的損失に対する損害賠償を求める形で訴訟を起こします。

和解して慰謝料を得る

日照権を妨害された場合の裁判では、賠償金や慰謝料を得ることで終わるケースも多いです。違法性のない場合にマンションなどの建築を止めることは難しいため、裁判を起こす場合も、基本的には慰謝料を得て和解する結果を想定しておくと良いでしょう。

建物の建築差し止めを求める裁判

建物の建築差し止めを求める裁判は非常に難しいものですが、ケースによっては成り立ちます。建築基準法に反している建物に関してはもちろんのこと、日照時間が短く、健康で文化的な生活を営む権利を妨害された場合にも差し止めできる可能性はあるでしょう。

日照権確保のリスク

日照権は、住民の健康で文化的な生活を守るための権利であり、太陽光発電の権利を守るためのものではありません。そのため、発電量の確保ができるような結果が出ない場合もあり、泣き寝入りするリスクも考えられます。電力や売電収入の確保を予測して設置を決めたとしても、設備投資の費用さえ回収できないこともあるのです。日照権確保のリスクについては事前に十分に考え、シミュレーションをしておきましょう。