太陽光発電の基礎知識 太陽光発電における出力抑制について

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太陽光発電では発電量の調整をするために出力抑制を行っています。出力抑制の影響を受けるのは、家庭用よりも産業用です。地域ごとにルールが異なるため、産業用太陽光発電の導入に当たっては、出力抑制についても調べておくことが必要となります。

太陽光発電の出力抑制とは

太陽光発電における「出力抑制」とは、電力会社が発電事業者の出力量を管理、調整することです。電力会社は各発電事業者の持つ発電設備の出力停止や抑制を要求して、出力量の管理を行っています。出力抑制の理由や問題点を確認しましょう。

出力抑制が必要な理由

出力抑制が行われるのは、電力会社が安定的に電力の供給を行えるようにするためです。システムを使って作り出した電力は電力会社への売却が可能ですが、電力を受け取る電力会社では、供給量と受け取る量のバランスを取ることが必要になります。供給側のバランスが崩れると、電力が安定して届けられません。逆に供給オーバーになると変電所の負担が増すため、大規模な停電が起こる可能性もあります。そのため、バランスが崩れ際は、一時的に出力を抑制してバランスを整えているのです。

出力抑制の順序

出力抑制はルールに従って行われ、いきなり太陽光発電システムが対象になることはありません。下記の順番で、火力発電から順に制限されていきます。太陽光発電の出力抑制は、水力発電と同様に5番目です。

  • 1.火力発電設備(化石燃料混焼バイオマスを含む)の出力制御・揚水式水力発電設備の揚水運転
  • 2.長周期広域周波数調整
  • 3.バイオマス専焼発電設備
  • 4.地域資源バイオマス発電設備の抑制
  • 5.太陽光発電設備・風力発電設備の出力抑制
  • 6.電力広域的運営推進機関の指示による措置
  • 7.原子力・水力・地熱の長期固定電源の抑制
  • 出力抑制は以上のように日本の電力系統システム全てに関わる事柄です。

    大規模発電のバランス維持

    太陽光発電の出力抑制は、大規模発電のバランス維持の一環です。多くの再生可能エネルギーは天候に発電量が左右され、供給が安定しません。電力消費量と再生可能エネルギーによる発電量のバランスを取るため、電力消費量の少ない時期は出力抑制が行われます。たとえば、エアコンの利用が減る春や秋には電力消費量が減るため、出力抑制を行ってバランスを取ることが多いです。

    2015年1月改正の出力抑制のポイント

    2015年1月に再生可能エネルギー特別措置法が改正されました。この改正により出力抑制の対象が変わっています。ほかのポイントと合わせて見ていきましょう。

    家庭用設備も出力抑制の対象

    2015年の再エネ特措法によって、これまで出力制御の対象ではなかった家庭用設備も出力抑制をされることになりました。ただし、家庭用設備の出力抑制は、産業用ほどの影響を受けないと見られています。

    1年間のうち、360時間が対象

    2015年の再エネ特措法の改正では、出力抑制の内容についても変更がありました。これまでは1年で30日を上限としていましたが、改正後の太陽光発電の出力抑制は1年で360時間という条件になっています。

    一部電力会社管内は無制限ルールを適用

    電力会社のエリアによっては、太陽光発電の出力抑制のルールに違いがあります。一部の電力会社管内では360時間という条件が適用されず、条件のない「無制限ルール」の対象となることもあるため確認しておきましょう。

    遠隔出力抑制システム導入の義務化

    太陽光発電システムで出力抑制を行うためには、専用の出力制御対応機器が必要です。機器の導入は義務化され、遠隔出力抑制システムは各発電事業者の費用負担によって設置することになっています。

    エリアごとの出力抑制表

    出力抑制は電力会社が受け持っているエリアによって違いがあるとご説明しました。具体的なエリアごとの出力抑制の条件やルールは以下の表のようになっています。電力会社ごと、また発電容量によってもルールが違うことがわかるでしょう。

    10kWまで 10~50kW 50kW~500kW 500kW以上
    東京電力 出力抑制の対象外 360時間を上限に出力抑制
    中部電力 出力抑制の対象外 360時間を上限に出力抑制
    関西電力 出力抑制の対象外 360時間を上限に出力抑制
    北陸電力 360時間を上限に出力抑制 接続可能量超過後は無制限・無保証の出力抑制となる
    中国電力 360時間を上限に出力抑制 接続可能量超過後は無制限・無保証の出力抑制となる
    四国電力 360時間を上限に出力抑制 接続可能量超過後は無制限・無保証の出力抑制となる
    沖縄電力 360時間を上限に出力抑制 接続可能量超過後は無制限・無保証の出力抑制となる
    北海道電力 360時間を上限に出力抑制 無制限・無保証の出力抑制となる
    東北電力 360時間を上限に出力抑制 無制限・無保証の出力抑制となる
    九州電力 360時間を上限に出力抑制 無制限・無保証の出力抑制となる
    東京電力
    10kWまで 出力抑制の対象外
    10~50kW
    50kW~500kW 360時間を上限に出力抑制
    500kW以上
    中部電力
    10kWまで 出力抑制の対象外
    10~50kW
    50kW~500kW 360時間を上限に出力抑制
    500kW以上
    関西電力
    10kWまで 出力抑制の対象外
    10~50kW
    50kW~500kW 360時間を上限に出力抑制
    500kW以上
    北陸電力
    10kWまで 360時間を上限に出力抑制
    10~50kW
    50kW~500kW 接続可能量超過後は無制限・無保証の出力抑制となる
    500kW以上
    中国電力
    10kWまで 360時間を上限に出力抑制
    10~50kW
    50kW~500kW 接続可能量超過後は無制限・無保証の出力抑制となる
    500kW以上
    四国電力
    10kWまで 360時間を上限に出力抑制
    10~50kW 接続可能量超過後は無制限・無保証の出力抑制となる
    50kW~500kW
    500kW以上
    沖縄電力
    10kWまで 360時間を上限に出力抑制
    10~50kW 接続可能量超過後は無制限・無保証の出力抑制となる
    50kW~500kW
    500kW以上
    北海道電力
    10kWまで 360時間を上限に出力抑制
    10~50kW 無制限・無保証の出力抑制となる
    50kW~500kW
    500kW以上
    東北電力
    10kWまで 360時間を上限に出力抑制
    10~50kW 無制限・無保証の出力抑制となる
    50kW~500kW
    500kW以上
    九州電力
    10kWまで 360時間を上限に出力抑制
    10~50kW 無制限・無保証の出力抑制となる
    50kW~500kW
    500kW以上

    出力抑制によって生じるリスク

    太陽光発電システムの導入を考えている場合、出力抑制のリスクが気になると思います。特に産業用の大規模な発電システムでは出力抑制の影響を受けやすそうですが、どんなリスクを想定することが必要となるでしょうか。リスクをまとめたので参考にしてみてください。

    売電収入の減少

    多くの発電事業者がもっとも恐れるリスクとしては、出力抑制中の売電収入の減少があげられます。出力抑制中は売電ができなくなるため、発電ができていても収入を得られないことがあります。

    投資収益の減少リスク

    産業用太陽光発電システムでは、投資収益の確保が重要です。出力抑制を受けるということは売電の受け入れもストップするということ。安定した収益の確保が見込めなくなるため、投資家にとってもリスクとなるでしょう。

    融資リスク

    太陽光発電システムの導入に当たって、銀行からの融資を考えている方は多いです。自己資金で太陽光発電を導入できる方であれば問題ないのですが、融資を受ける場合は出力抑制がリスクととられ、融資が見送られてしまうかもしれません。

    出力抑制の可能性とリスクの低減

    気になる出力抑制ですが、実際には種子島や壱岐のような一部離島でしか実施されたことがありません。大きな影響を心配する必要はないでしょう。また、リスクを軽減する方法もあるため、詳しくご紹介します。

    九州電力の需給バランス実績

    電力会社でも、出力抑制が起きないよう調整と対策が行われています。九州電力エリアは太陽光発電の導入量が伸びており、出力抑制の懸念が大きかった地域です。しかし、出力抑制の可能性が高いと見られていた2017年の4、5月を、太陽光発電の出力制限なしで乗り切りました。

    このとき九州電力では、需給のバランスを取る対応が行われています。電力需要が飽和状態となった際、2016年は中国電力への計画送電、水のくみ上げへの揚水発電活用などを実施し、需要と供給のバランスを調整しました。2017年も同様の運用によって出力抑制を回避したと見られています。"

    出力抑制保険および新たな対策

    太陽光発電の導入では、出力抑制の今後の動向に備えた対策を講じておくことも大切です。今は抑制のリスクが少ないと考えられても、その後の展望には不確定要素もあります。今のうちからリスクに備えておきましょう。

    出力抑制保険

    太陽光発電事業における出力抑制の対策として、出力抑制保険の活用があります。出力抑制が起きた場合、家庭用の小規模な発電設備への影響はほとんどありません。ただし、産業用の大規模な発電施設では影響が大きくなる恐れがあります。収益も大きくリスクも高い産業用太陽光発電の場合は、出力抑制が行われたときの収益の減りをカバーできる保険を利用するのもひとつの手段です。

    出力抑制保険は、抑制による売電収入の損失を保障するための保険。出力抑制だけでなくある程度までの自然災害もカバーしているものもあります。保険に加入することで出力抑制時にも収益を安定させることができるでしょう。また、太陽光発電設備とセットになっているものも販売されています。保険に加入することで安定した収入が約束され、銀行からの融資も受けやすくすることが可能です。

    出力抑制対策用の蓄電池

    太陽光発電の出力抑制の対策としては、蓄電池の導入もあります。蓄電池を利用することで夜間の売電を可能にして、売電収入を確保するという方法です。太陽光発電で発電した電力を無駄にせず、使うことができるでしょう。